唐突に、職にまつわる話をつらつらとしてみようと思います。まずは転職活動編。
というのも、わたしはこれまで二回転職をしていまして、現職が三社目となります。大それたことは何一つしていないのですが、わたしの転職経験が広いインターネットの海で誰かの何かの役に立つこともあるかもしれないので、その辺りのことを少しだけ残しておこうという思いです。あと、シンプルに未来の自分への申し送りのような側面もあります。
※ いくつか過去の記事を削除したのですが、そこから関連するトピックをサルベージするような趣旨で筆を走らせている格好です。これまでにも私のブログを読んでくださったことのある方の中には、もしかすると見覚えのあるものが含まれているかもしれません。
これまでの仕事の話
一社目は堅めの、二社目は中規模のtoB系スタートアップ企業で、いずれもインターネットの仕事をしていました。役割は少しずつ変わっていっていますが、対外的な職種としては技術職、専門職といって差し支えないかなと思います。扱う商材やサービスはいずれもバラバラです。
二社目に移る時は専門職向けの合同説明会みたいなところにたまたま行き、後の上司となる人に肩をたたかれてブースに連れて行かれたことがきっかけです。何社か面談をしていただき、一番波長が合ったとか、扱う製品が気に入ったとか、色々な理由からその会社にお世話になることに決めました。
三社目である現職はもっとふわふわしていて、登録していた転職サイトでたまたま後の上司に声をかけていただき、さほど転職意欲はなかったもののひとまずお話をしてみたところ、組織の風土やビジョンが自分に合っていて、面白みのあるフェーズだったことから、あれよあれよという間に移ることが決まったというようなそんな感じでした。なので転職活動を本格的に始める前に決めてしまった格好です。
計画的偶発性理論
ずいぶん根無し草的な労働観だな、と長らく自分では自虐的に思っていたのですが、計画的偶発性理論という考え方があると知ったときに、自分の考え方が少し肯定されたような気持ちになりました。ご存知の方もきっと多くおられると思うのですが、計画的偶発性理論というのは、キャリアは計画的に積み上げるだけでなく偶発性、つまり予期せぬ出来事や出会いも大きく作用するという考え方です。
一つの会社で役職を積み重ねながら勤め上げる働き方も、細かいピッチであるべき姿を描いてそれに沿ってキャリアチェンジしていく働き方も、どちらもしっくりときていなかった自分にとっては、キャリアが偶然で形成されている、点がいずれ線になるようなものというこの考え方に随分と助けられたのです。
でも、計画的偶発性理論はそれだけじゃなく、ただ偶発性が舞い込んでくるのを待つだけではなく、そうした偶発性からチャンスを逃さないための準備をしたり、予期せぬ出来事に楽しみを見出したり柔軟に対応したりことを大切にしていて、そうしたところもまた自分の感性にしっくりとくるなという気持ちです。割とこの考え方は大事にして、日々の組織人生活を送っているなと思います。
会社を選ぶときに見ていたこと
さて、そのようなとてもふわふわとした転職経験ではあるのですが、働く場を考える上で気にしているところがいくつかあります。
提供するサービス・商材に対して関心・共感が持てるかどうか
言い換えるなら、愛着が持てるかどうかかなぁ、と思っています。私は好きじゃないものは作りたくないし売りたくないと思っているタイプで、逆に好きだと思ったものには心血注いでよくしていきたいと思っているタイプ。訳者あとがきとかを超読み込むタイプです。
そういうわけで、偶発的な出会いの中でも製品や提供サービスに共感できるかは一番重きを置いて確認しているかなぁという次第です。
とはいえこの感覚はすごく主観的なところに依るので、転職エージェントのような方に思いを説明するのが極めて難しい。私が転職活動でエージェントを使えない理由の最たるはこの部分だなと思っています。
一緒に働く同僚のモチベーション
専門職なので、といっても専門職であるに限らず、労働人として日々勉強することがたぶんにあるので、一人が頑張るというより、みんなで強くなるという志向の職場が良い。
雇用条件(給与、福利厚生、その他もろもろ)
これは極端に悪くならなければなんでもいい、ぐらいの気持ちでそんなに重視しませんでした。 勤める会社が違っても仕事内容はさほど変わらないことと、単独プレーではなくチームプレーが基本の職業なので、一番優先するのは一緒に働く同僚の人柄や雰囲気で、給与とか福利厚生はガクンと条件が悪化することがなければまあいいかな、ぐらいの感じでさほど重視していません。あんまりお金に興味ないと言うのもある。新卒採用された会社が豊かな会社な人はそれと比べちゃうと大変だろうな〜と思います。
転職活動の概要
これまで二度とも割と受け身で、基本的には声をかけてもらった企業と選考意欲を問わない面談を組んでもらって、いくつか聞き比べる感じです。転職サイトだったり、転職説明会だったり、はたまた勉強会だったり、きっかけはどこにでも転がっているはず。今どきみなさんそうかと思いますが、転職意欲がそれほど高くない時分から転職サイトにはずっと登録してあります。
そしてこれもまたあるあるかと思いますがエージェントからの接触もあって、お話しをしてみたことがありますが、ご提案いただく求人のイケイケドンドンな感じがキツくてお断りしてしまいました。エージェント経由の転職活動はハマるとサクッと決まるし楽なんでしょうけど、自分の性格や志向と合うエージェントに出会うまでがしんどい気がします。
結局書面だけではわかりませんし、かといってその気もないのに選考に進まないと情報が得られない、というのも互いの時間をロスしている感があるので、カジュアル面談をいくつかしていただき、面白そうだな、とか、自分の働くイメージが湧くな、と思える会社だけ選考に進むというのがリーズナブルなように思います。未来の同僚や上長とは話が既にできている状態で、入職するとした場合にやることも見えているし、おそらく相手側も、私が入職した場合にどういった業務をやらせようかなとうっすら想像できている状態。いきなり書類選考・面接、になるよりも、選考に進むかどうか決めかねているうちのゆるいトークで未来の同僚とざっくばらんに会話しておくのがお互いのミスマッチを減らせて有意義なのではないかなーと感じます。他の業界だとどうなのかはよく存じていないのですが、スタートアップだとどのような職種でも一般的になってきたのではないかなと思います。
キャリアの棚卸しを定期的にするということ
さて、転職活動といえば職務経歴書や履歴書に書くようなことを延々と考えさせられるのもまた陰鬱な要素ではあるなと感じます。自分の強みや長所、得意なこと、のような項目が本当に書くことが苦手で、これが書きたくないために履歴書を書きたくないところがある。
他方、業務の経歴についてだけは特に何も悩まずに書き切ることができます。きっと多くの会社員はそうしていることでしょうが、キャリアの棚卸しはかなり頻繁にやってきている方だと思います。
新卒の頃の仕事はかなりクリエイティブ寄りの仕事で、定常的な業務はほとんどなく、仕事の大半がプロジェクトチームを組んで一定の期間を区切って進めていくことがほとんどでした。その頃、一連のプロジェクト仕事が一区切りしたら、プロジェクトの概要や担当した職務、成果についてA4一枚程度にまとめて報告する必要があったのですが、これがなんとなく習慣化して今に至っているようなところです。
棚卸しといっても大したことはなくて、例えば月に一度、割り込みの仕事が入らないようにカレンダーをブロックしながら、
- ひと月の間にやったこと
- それらを通じて学んだこと
- 用いた手法
- よかったこと/辛かったこと
あたりをばーっと書き出すくらいで十分です。
ツールは手書きだったり、社内のメモやWikiサービスに非公開記事として投稿するだったり、NotionやEvernote、esaなどのようなアプリケーションだったり、Wordでも何でも大丈夫。大事なのは、同じフォーマットで書き続けることと、串刺しでそれだけを眺めることができるようになっていることです。必要に応じて冗長や偉い人に共有できるように社内のリソースに貯めておくことも良いのですが、自分自身のキャリアの棚卸しという意味合いだと、個人利用しているメモアプリなどにデータを貯めていくことが良いと思われます。
転職意思の有無に関わらず、今月やったことを書き並べた何かを貯めておくことは、後から振り返ってみた時に自分自身のことを肯定してあげるためのツールとして結構役に立ちます。